窓からの熱貫流

  

外壁よりの進入熱は、壁とガラス窓を別々に計算しなければなりません。


進入熱を面積比で考えると、窓のほうが外壁より数倍大きく、及ぼす影響は非常に大きいものとなります。

 

本プログラムでは、窓よりの熱貫流は、GlassDataとして計算します。

窓よりの進入熱は、単純に面積だけでは計算できず 「周囲の遮蔽物による日陰」の動きなどを試算して決めなければならず面倒な計算です。

 

手計算で行う場合日陰の計算が面倒なため無視して行うことがよくあるのですが、極端に大きな値となるため 、過大設計になってしまいます。 これらを出来るだけ早く正確に計算するため、日陰の形式をパターン化しました。

 

窓の面積を設計図より拾うとき、正確には窓のサッシの面積を差し引く必要がありますが、本プログラムでは、窓開口の90%がガラス面積としています。サッシよりの熱取得は 、下で説明する温度差による貫流で取り込みます。

 

窓よりの進入熱は、下図の様に、ガラスの「透過・輻射・伝熱」など複数の熱があります。

外気温度差による伝熱も併せて計算しますので、WallDataで窓の伝熱を取り入れる必要はありません

 

窓の熱通過図 

透過日射量=A x η x {(1 - Fsdw) x cid x ivd + cd x ivs}

A (窓面積(サッシ除く)  [m2] ガラス面積はサッシュ面積の90%とする
 [η] 日射侵入率  [<1] 通常は0.80.52が適当です (下図参照)
Fsdw 日影面積率    
ivd 直達日射  [kcal/h.m2]  
cid 標準入射角特性 (日射入射角 cos θにより 1.0~0.0変化する)
 (補間式で近似する方法がある)
ivs 拡散日射 [ kcal/h.m2]  

ガラスの性能表

吸収日射量=A x BN x {(1 - Fsdw) x cid x ivd + cd x ivs}

 

A 窓面積(サッシ除く) [m2] ガラス面積はサッシュ面積の90%とする
BN 吸収日射取得率 [<1] (通常は、0.02~0.1が適当)*1
Fsdw 日影面積率    
ivd 直達日射 [kcal/h.m2]  
cid 標準入射角特性   (日射入射角 cos θにより 1.0~0.0変化する)
ivs 拡散日射 [kcal/h.m2]  
cd 拡散日射特性   (0.91ほぼ一定)

 

*1: 吸収日射取得率は、ガラスメーカの値を参考とし、以下のような補間した数式で近似しています。

補間式  [ BN = 0.305 - (0.333333) x η ]

 

温度差による貫流=A0 x K x {Ta - (e x Fs x RN /a0) - Tr)

 

A0 窓面積(サッシ含む) [m2]
K サッシを含めた熱貫流値 (5種類の等級で選択可能)
Ta 設計外気温度 [℃]
e 長波長輻射に対する輻射率 (0.9)
Fs 垂直面は0.5とする  
RN 地表面からの輻射と大気輻射量の差(夜間輻射量)
a0 フィルム抵抗 (20 kcal/m2・h・℃)
Tr 設計室内温度 [℃]

本プログラムでは、単純化するため K値は5種類のガラスを等級で表したデータより、選択できるようにしています。詳細は、プログラムのOnLineHelpを参照して下さい。

 

あらかじめ、方位別の 「窓と壁の単位あたり」 を試算をしておけば、基本計画時点に 省エネ空調設計の観点より窓の面積や遮蔽構造をアーキテクトに助言できると思います。

 

シンガポールなどの赤道直下の国では、西側の窓は最悪で、夜7時近くまでがりがりの西日が入り 不快です。少しでも軽減できるようにしたいものです。


最終更新日:2020/02/04
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