小規模電算機の空調
電算機室エアコンの送風量
電算機が設置してある部屋の空調がたびたびダウンしてしまい、施主が困っていました。
状況は、室温が上がり過ぎ、温度制御が利かない
たびたび、空調機がトリップして停止する
施工状況は、約200㎡程の事務室に大型電算機がびっしりと設置されていました。空調送風系は、ダクトで天井より送風し、レターンは、隣接した機械室にガラりより戻すシステムでした。空調機は、水冷式の汎用パッケージエアコンが機械室に設置されていました。
概算では、空調機の容量は多少不足しているようです。また、空調機は常用と予備が並列にダクトに接続されていましたが、逆流防止ダンパーがなく、予備機側から送風空気が漏れて、さらに悪い環境が出来ていました。
そうこうしてる内に、パッケージ空調機のコンプレッサー密閉型電動機コイルが焼損してしまいました。緊急を要する為、コンプレッサーを入れ替えたのですが、今後を考え以下にあげる実験を行いました。
電算機室の天井から、温度計を2m間隔ほどにぶら下げ、測定する事にしました。
空調機の吹出空気温度を測定しました。
仮設の循環ファンを用意し、電算機、奥の空気を強制的に空調機に戻すようにしました。
結果は、以下の様なデータが出ました。
電算機室の温度ば、ばらつきが非常に大きい(3~5℃)。
空調機の吹出空気温度は相当低い(7~10℃)。
空調機冷却コイル表面に、結氷が見られた。
仮設循環ファンを運転すると、空調機の吹出温度も上昇し、室内の温度分布の改善する。
典型的な循環風量不足です。DXコイルの表面に結氷すると、急速に熱交換しなくなり、空調機内部の冷媒液バックが起こり、冷媒液が密閉コイルをたたく為、電気的な絶縁が低下して、コイル損傷が起こっていたようです。
空調システムの循環風量をあげる必要があるのですが、天井裏のスペースがまったく足りず、ダクトを変更するのは不可能でした。
そこで、露出でリターンダクトを壁面に設置し、空調機械室に、リターンファンを設置して強制的にレターンエアーを空調機に返す対策を行いました。
予備の空調機を介して空気がバイパスしないように、逆流防止のダンパーを設置した。まだ、室内の温度ばらつきはまだ残っていますが、最低限の対策です。
本来は、電算機の発熱を十分処理できる送風空気が必要ですが、限られた条件で何とか対策を講じた事例です。
電算機は性能が上がればあがるほど、単位辺りの発熱量が増加する為、専用の「高顕熱処理の空調機」がベストな選択のようです。
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