最近の住宅設計て何!
なんでこんな贅沢な住宅がいるの!
一昔前は、原住民が住んでる熱帯のジャングルみたいに思われている人もいるかもしれませんが、今やシンガポールは世界でも有数な都市です。
国土の大半が利用できる平地であるため、計画的に建設された集合住宅が日本より遥かに多い人口密度を抱えています。
日本の住宅公団などを真似て建設された集合住宅の建設はほぼ完了し、これに飽き足らない上級の住宅を求めて買い替えが進んでいます。
その中級の住宅建設に携わっている私からみて、建設仕様は贅沢としか言い様がありません。
床材は、大理石・グラナイト(黒ミカゲ)・パケットと呼ばれる木材、どれ1つとっても自然材です。
壁は、レンガにモルタル仕上げのペンキかクロス張り。全室エアコンつきでトイレには洋風バスとシャワーコンパートメントつき、ホテルみたい。売り出し価格は、日本円に換算して、3千万円から上は数億円まで様々です。しかし売り出しを開始すると建設完了前に70~80%すぐに売れてしますのです。
更に、建設計画が目白押しです。何じゃこれは??
最近のプロジェクトから
現在、小規模の集合住宅建設に携わっています。
平均 2~3ベッドルームで合計70ユニットですが、総地下の駐車場、スイミングプールやクラブハウス・スチームバスなどの設備が整っております。
建物の階数は地上5階建て地下1階ですが傾斜地に建設されています。3ベッドルームには、総床面積が150m2位で、リビングダイニング・マスターバス・サブバスルームが計画されています。シンガポールでは、建物のグロス床面積に比例して政府に申請費を納めなければなりませんが、その費用は相当高価なものです。
一方売る場合はグロス床面積全てを売ることは出来ません、当然共用部分・廊下・エレベータ・設備機械室・売る面積に算定できません。
そこでデベロッパー(設計者)の腕の見せ所は如何に効率を上げながらプライバシーも守った良い環境の設計をすることです。しかし施工性は必ずしも良くなく、特に設備設計では苦労させられます。
今行っている設計も、その代表で給排水の立て管スペースの計画が最後になってしまいました。
総地下のため、地上の建物の柱がそのまま地下に配置できず、駐車スペースを効率よく計画するとおのずと偏芯するための巨大な梁があちらこちらに現れ、設備配管のスペースを塞いでしまいます。
その為、やむを得ず梁貫通をすることになるのですが、その梁背は1メートル以上にもなりその本数の1本や2本ではありません。地震がない分構造はシンプルですが、たまったものではありません。
バスルームの仕上げ材は、床・壁は大理石、またシンガポールの常識ですが様式バスと別にガラス張りのシャワ室を設ける必要があります。しかも十分なスペースが取れないため、まるでフル装備の軽自動車見たいな仕様です。
日本みたいにプレハブバスは、感触が軽く人気がないため全てオーダーメードです。デベロッパーは何かと新しいことをしたいので、壁をくりぬいた小物入れを造りつけたり、ヘヤードライヤーをつけたりその度に大理石とで窓の収まりだとか、防水との収まりだとか難しい収まりが要求されます。
給湯は、貯湯式電気湯沸し器が主流で、1回バスにお湯を張ると温度が下がりしばらく待たなければなりません。
お風呂好きの日本人にはあまり快適ではないかもしれません。
衛生陶器類は、ヨーロッパ製が人気が高くそれも見た目ばかりで機能は2の次です、99%洗い落とし式のWCなど。最近の日本の住宅建設に疎くなっていますが、日本では如何なのでしょうか?
冷房は、各ベッドルームおよびリビングダイニングはエアコン付です。
エアコンは、インバータタイプのマルチエアコンで日系メーカが主流です。
(20年前は、ウインドウエアコンしかなく、ガタガタうるさいやつでしたが)。
ガーデンは、40mのメインプールに休憩所や池を配置し、入り口には滝を配置しています。
デベロッパーの要求はインドネシアのバリ島式のデザインがオーダーですがそれにしては十分な面積がとれず.…。
夜間の照明もクリスマスツリーのように樹木をライトアップしたり最終案がどうなるのか心配です。残念ながら設計図はお見せ出来ませんが。
更に、最近の傾向は、インターネットが各ベッドルームとリビングダイニングですぐ接続できるようなCAT5配線とハブを取り付ける収納戸の設置も要求されます。
セキュリティーは、エレベータホールの入り口にカードキーがあることと、入り口・出口はCCTVでモニターするという簡単なものですが、ほかのプロジェクトでは、太陽熱温水器設置や、全て電話に よる遠隔操作が出来るシステムも増えてきています。
いやーいろいろ勉強しなくては。 (2003.6.14)
住宅のエアコンは今.…
衛生陶器をと考えていたのですが、AIR-CON MAN に相応しくないので空調の話にします。
私が赴任した当時は、ウインドウエアコンが主流で、外壁に開口を切り、ガタガタうるさい空調機がほとんどでした。新築の住宅は今ではそんなものは見当たりません。 組み合わせのバラエティーが豊富になったインバータータイプのマルチエアコンが主流です。
5~6年前は米国産のエアコンもありましたが、コストを下げる目的で検証も終わっていない寄せ集めのパーツで生産した為コンプレッサーを焼いたりいろいろ問題を起こし、今や日本製が90%以上占めています。 日本のQCが買ったようです。最近は、中国製が少しずつ入ってきていますがこれからでしょう。
住宅建設の空調で問題となるのは、容量不足や配管の結露などが殆どですが、最近多く見受けられるのは屋外機の排熱です。シンガポールの集合住宅は高層が多く15~20階建てが多くあります。
建築設計者からしてみれば、屋外機はデザインを壊す代表であり、目の敵にされてしまいます。 確かに、屋外機がずらりと外壁に並んでいるさまは美しいにはほど遠いものですが。
一般的には、台所やバスルームの開口から保守できる位置に、エアコンラッチと呼ばれる跳ね出しを設けて屋外機を設置します。
しかし、床面積の効率を上げるため建屋の入り組んだ部分になることが多く、試運転すると屋外機からの排熱が煙突のように上階に集まってしまい、上層階では40℃を超える空気が台所に逆流してしまうことがあるのです。
また、屋外機の前面に化粧ルーバーを取り付けますが、その有効開口が小さすぎ、熱気が屋外機に逆流し、空調機がトリップしてしまうこともあります。
これらの問題点を逆に営業ポイントとし、ある日系メーカは熱気のシミュレーションプログラムを導入し営業に役立たせています。それほど正確なシミュレーションではないのですが、視覚的に訴えるデータですので、今やこのデータがあれば建築設計者に強く要求できるし、これらシミュレーションが出来るメーカーは機械も売れるというわけです。
化粧ルーバーに関しては、空調機メーカーがデザインの良い専用のルーバーを開発してくれることを願っています。
しかし、目のかたきになる屋外機、排熱をヒートパイプなどを使いもう少し自由度のある配置が可能になればとも思います。
運転や温度設定は100%ワイヤレスのリモコンとなっていますが、汎用の機器は温度設定メモリが16℃位から設定できるようになっています。ある設計で驚くことを聞かされたことがあります。
あるバイヤーが購入し、エアコンの温度設定を16℃にしたけど温度が下がらないとクレームをつけてきたとの事です。我々技術者は常識と思っているこてでも、彼らには常識ではないのです。
空調機の選定を出来るだけ分かりやすく説明して解決しましたが電子回路が発達している昨今、設定可能な温度範囲を表示しなければいけないかも...
更に、使用した電力を電気代に直しリモコンに表示するなどの機能が、低コストで出来れば、省エネ促進にも役立つかも知れません。
(23/6/2003)
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